1月6日にはじまったNHK大河ドラマ「いだてん」。平成最後の大河と意気込んだものの、スタートダッシュで見事にコケた。
朝ドラ「あまちゃん」で成功したクドカンこと宮藤官九郎氏の心は傷つき、焦りに駆られているのではないか。
初回は15・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。歴代ワースト3位と大きく出遅れた。
第2回では、心臓破りの丘で失速するように12%まで急降下。歴代ワーストの平均視聴率記録に並んだのである。第3回は13・2%と小康状態で――。
ドラマは、マラソン選手の金栗四三が初めて五輪に参加した1912年から、新聞記者の田畑政治(まさじ)が東京五輪を成功させた64年までを中心に描く
前半の主人公である金栗を中村勘九郎が、後半の主人公、田畑は阿部サダヲが演じる。古今亭志ん生役のビートたけしがナレーションを務めるのも放送前から話題だった。
金栗生誕の地である熊本県和水町(なごみまち)の高巣泰廣町長の、
「わが町が生んだ金栗さんがどのような形で出てこられるのか、非常に興味を持って観ております。
第2回で和水町の景色が出てきてよかったです。回を重ねていけば、視聴率も上がると思っております」
との朴訥な言葉が叶えばいいのだが……。
「近現代史を題材にすると視聴率が悪いのは、過去の例からもNHKは織り込み済みだったと思います」
こう語るコラムニストの桧山珠美氏は、「クドカンのドラマは登場人物が多く、パッと時間が飛ぶのが特徴。まさに初回がそうで、顔見世興行のようでした。
場面もころころ変わり、金栗四三がぜんぜん出てこない。志ん生やほかの登場人物ばかり出てきて、役所広司演じる嘉納治五郎を主人公と思った人もいたのでは。
そこがまたクドカンっぽくて面白かったのでしょうが、昔からの大河の視聴者は置いてけぼりにされたかもしれません」
この点について、「あの展開の早さは、旧来からの大河ファンが離れるだろうな、と思いました」
と、メディア文化論を専門とする上智大学の碓井広義教授は語る。
「ほかにも問題があります。語り手を実在の人物である志ん生にしたのはいかにもクドカンらしいのですが、演者がビートたけしさんであること。
志ん生が高座で落語を演じる体裁で舞台回しをしますが、たけしさんにしか見えないし聞こえません。
たけしさんの声が聞き取りづらいのが致命的です。あれでは視聴者が話についていけません」
致命的な問題、つまり志ん生役にビートたけしを指名したのは、NHKの制作統括プロデューサーである。
コラムニストの林操氏は、そのNHKサイドへ指摘。
「主人公が2人もいるのも、いかにも頭でっかちな感じですよね。NHKは五輪をテーマにして2020年に向けて国威を発揚しつつ、
陸連や五輪関係者にも気を遣わないといけない。それで、宮藤さんにあれこれと過剰なオーダーをしすぎたのではないでしょうか」
序盤の失速は、NHKの心臓破りのような無茶ぶり要求が招き、結果、クドカンはハートブレイク……。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190204-00555999-shincho-ent